2011年3月10日木曜日

白い一日(小椋佳)


そこは高円寺川の上を蓋をした、暗渠の上が公園歩道になった、環七に近い大きな下宿屋でした。私は追われる身なので、夜のクラブのバイトを辞め、毎日彼女とじゃれ合って過ごし、白い何週間が過ぎた。相手の婚約者がどんな気持ちか、なんてやっと今頃わかったような気がする。突然愛する人を奪われたら、必死に探すに決まっている。彼女に見せられた”コング”という雑誌に彼のランキング票が載っていた。しかし、私は彼女を解放するために騎士になり、ただ突っ走ったのが真相だ。知り合いの、伊豆の別荘を借りたりして逃亡生活と、コミユーンでの仲間にかばわれての、二重生活が生活苦に拍車をかけた。

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